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研究活動

河川・湖沼

福島第一原子力発電所事故にともなって放出された放射性物質は陸上に沈着したのち、風雨のはたらきによって再移動します。放射線によるリスクを低減するために、この再移動のプロセスを把握し、また将来どこに存在するのかを予測する必要があります。
例えば、セシウム137は降雨にともなって土砂とともに移動し、河川を通じて海洋まで流出したり、湖沼などの閉鎖性水域に蓄積したりします。また、水の中での化学的な作用によって、ゆっくりと水の中に溶出することが知られています。こうした科学的知見は過去の放射性物質に対する研究によって明らかにされてきました。しかし、福島は、雨が多かったり、地形が急峻であったりと放射性物質の再移動を支配する条件がこれまで調べられてきた地域とは異なっています。こうした違いを踏まえて、過去の知見を活かしながら、福島の陸域における放射性物質の現状を明らかとし、将来の予測へつなげていこうと研究を行っています。

河川・湖沼1 河川・湖沼2 河川・湖沼3

 

活動記

2017年10月3日
河川・湖沼プロジェクトでは、陸域における放射性物質の動態解明を目的として、さまざまな利用条件下にある土地におけるセシウム137の移動に関する観測を行っています。除染地、草地、耕作地、未耕作地(裸地)に土壌侵食プロットを設置して、降水にともなって斜面から流出する土砂とセシウム137の量を調べています。この日は、前日までの降雨によって流出した土砂のサンプリングを行いました。
[写真:調査地をご提供いただいている菅野富雄さんと調査を行っている本研究所の脇山講師。山木屋地区内の除染地に設置した土壌侵食プロットにおいて]

2016年12月13日
河川・湖沼プロジェクトでは大熊町の福島第一原子力発電所近隣のため池での放射性セシウムの挙動に関する研究を行っています。今日は隠居坂、鈴内、鮒沢。頭森の四つの池から水のサンプルを採取しました。土壌-水環境における放射性セシウムの分布と挙動の基本的メカニズムを明らかにするため、長期的に研究を続けていきます。
[写真:東京電力福島第一原発から数百メートルのため池から水サンプルを採取するアレクセイ・コノプリョフ教授]