令和6年10月21日 第4回IERセミナーを開催しました <大学院生、オロスン研究員>

日時2024年10月21日(月)13:30~15:10
場所環境放射能研究所本棟6F大会議室/オンライン(Zoom)
発表者児玉 楓弥(共生システム理工学研究科 環境放射能学専攻 博士前期課程2年)
庄子 信利(共生システム理工学研究科 環境放射能学専攻 博士前期課程2年)
ムヨワ・マイケル・オロスン プロジェクト研究員
(発表順)
演題請戸川水系の河川・ダム貯水池における魚類の137Cs濃度と生息環境の季節変化(児玉)
福島県の土地取引データからみた原発事故の影響(庄子)
鉱業の環境影響:ナイジェリアにおける鉱業活動による自然に存在する放射線物質および潜在的に有害な元素のリスク評価から得られた新たな知見(オロスン)
参加人数17名

環境放射能研究所(IER)では、所属研究者同士の交流、研究活動の推進を目的に、研究成果報告会「IERセミナー」を定期的に行っています。

10月21日(月)に開催した令和6年度第4回IERセミナーでは、環境放射能学専攻 博士前期課程2年生2名、ムヨワ・マイケル・オロスン プロジェクト研究員が発表を行いました。オンライン聴講を含め研究者、大学院生ら17名が参加しました。

和田研究室の児玉さんは、2023年6月から翌年の6月まで、約3ヶ月ごとに請戸川水系の大柿ダム、小出谷川で調査を行い、生息する魚類、環境水、底質の137Cs濃度と、その季節変化、大柿ダムにおける水温、溶存酸素等の環境データ測定の結果と季節変化について発表しました。

脇山研究室の庄子さんは、原発事故後の空間線量の経年変化が土地取引に及ぼす影響について発表しました。調査では、GISを活用し、いわき市および郡山市の不動産関係業者へのインタビューを行いました。結果として、空間線量率と土地取引に顕著な相関関係はありませんでした。取引に大きく影響を与えたのは、除染、復興政策等行政施策推進とそれによる年間線量(1mSv以下)の漸減によるものと言えます。また、土地取引は色々な事情が絡むため、放射線量の影響のみを切り出す事は難しい事が分かりました。

オロスン プロジェクト研究員は、ナイジェリア北中部にある採掘場周辺の自然起源放射性核種(NOR)と潜在的有害元素(PTEs)の濃度について発表しました。測定の結果、推奨限度を超えており、健康リスクをもたらす汚染が確認されました。238U、232Th、40Kの放射能濃度が検出され、放射線危険パラメータやPb・AsなどのPTEsは、多くの地点で安全基準を上回っていました。リスク評価の結果、中程度から高いリスクが示されました。本研究は、採掘活動が環境汚染を引き起こすことを示唆しており、規制の強化、モニタリングの徹底、国民の意識向上の必要性を提言しています。リスクを軽減するためには、品質管理、教育、基準の遵守が不可欠です。本研究のデータは、今後の放射性物質に関する基礎資料として活用されることが期待されます。

各発表後には、IER教授陣と院生から様々な質問やコメントが挙がりました。

研究発表をする児玉さん
研究発表をする庄子さん
研究発表をするオロスン プロジェクト研究員
質疑応答の様子
質疑応答の様子
質疑応答の様子