令和7年7月7日、IER特別セミナー(IAEAセミナー)を開催しました。<ミロスラフ・ピナック氏、ジェラルド・ブルーノ氏>
日時 | 2025年7月7日(月)13:30~16:00 |
場所 | 環境放射能研究所本棟6F大会議室/オンライン(Zoom) |
外部講師 | ミロスラフ・ピナック氏 Head, Radiation Safety and Monitoring Section, IAEA ジェラルド・ブルーノ氏 Head of the Radioactive Waste and Spent Fuel Management unit, IAEA (発表順) |
演題 | 東京電力(TEPCO)福島第一原子力発電所事故後の復興に向けた福島県とIAEAの協力(ピナック) 放射性廃棄物管理(ブルーノ) |
参加人数 | 40名 |
令和7年7月7日(月)、国際原子力機関(IAEA)の専門家であるミロスラフ・ピナック氏とジェラルド・ブルーノ氏をお招きし、IER特別セミナー(IAEAセミナー)を開催しました。当日は、オンライン聴講を含め、行政関係者、研究者、大学院生ら約40名が参加しました。
本セミナーは、IAEAと福島県との協定に基づいてIAEAの専門家が県内大学等で行う一連の講義のひとつとして、IERで行われました。当日は講義に先立って、福島県環境創造センターの郡司所長、外務省国際原子力協力室の田中室長からご挨拶がありました。
まず、ピナック氏から福島県とIAEAとの協力についての概要が紹介されました。IAEAは福島第一原発の事故後、福島県との協力関係のもと、除染や除去土壌の管理、作業者の安全管理、住民の健康などについての施策に関して、技術的支援、助言等を行ってきたことが述べられました。また、IAEAによる県内大学等での講義は昨年から始まっており、福島大学でも逐次通訳付きで実施されたこと、2025年夏も複数大学等での講義が予定されていること、本日7月7日のIERでの講義がこの夏の最初であることも言及されました。IERでの講義は、大学院での講義も通常英語で行われることから、通訳なしの英語で行われました。
続いて、ブルーノ氏による「放射性廃棄物管理」に関する講義では、一般論としての放射性廃棄物は放射性物質の含有量(レベルと崩壊期間)によっていくつかのカテゴリーに分類され、各カテゴリーに応じた方法と施設において、減容化や固化・不溶化などの必要な処理を施した後、隔離と封じ込めによる安全な保管が行われることが説明されました。福島で発生した除去土壌等についても紹介されました。その特性として、放射性セシウムのみが長期的に管理を要する放射性核種ですが、その封じ込めは容易に実現可能な一方、外部被ばくの防護のための適切な隔離と遮蔽が必要であるということでした。
講義のあと、学生からも活発な質問があり、除去土壌の再生利用促進について住民等の広い理解が課題であることなどが話題となりました。また、通常の使用済み核燃料の廃棄物についても追加の説明がありました。今回の講義で、放射性廃棄物管理についての体系的な考えとその除去土壌への適用について学ぶことができたのではないかと思います。
今年度はこのあと12月に実施する方向で県と調整中です。次回はリスクコミュニケーションについての講義を依頼する予定です。



