令和2年1月31日(金)二本松市にて第13回研究活動懇談会を行いました。

日時

令和2年1月31日(金)

場所

二本松市男女共生センター

この懇談会は、研究成果を地域に還元するために2016年より開催しているもので、当研究所にとって重要な活動です。第13回目となる今回は、「福島の林業復活に向けて」と題し 森林環境及びその産業に焦点をあて、帰還困難区域の森林における放射能の影響を研究するヴァシル ヨシェンコ特任教授、環境省東北地方環境事務所所長である小沢晴司氏の2名の講演を行いました。林業関係者や帰還困難地域に関わりのある市民の方など76名の参加がありました。

ヨシェンコ特任教授はこれまでの研究結果から、森林内の放射性セシウム濃度が減少するスピードが緩慢であることを報告しました。その理由として、森林生態系中に蓄積された放射性セシウムが降雨や落葉によって葉や樹皮から土壌に移動し、根から吸収され再び地上のバイオマス(有機物)に還る循環移動があることを挙げています。また、チェルノブイリ原発事故の影響を受けたウクライナでは、安全な木材利用の促進のため、木材の放射性物質濃度基準値が用途に応じて設定されていることについて説明しました。小沢所長は、森林が福島県内の多くの割合を占める重要な要素であるとして、県が推進する「ふくしま森林再生事業」の枠組みや、その中で行った林業への関心を高めるスタディツアーなど、復興に向けた取り組みの紹介を行いました。

本会は、福島の森林や林業と様々な形で関わる方々にとって有益な情報共有や意見交換の場となることを目的としましたが、来場者には故郷が帰還困難区域に指定された住民の方も多く、会場からは林業や除染に関する質問が多く挙げられました。本会の開催についてのコメント、改善点などを様々なご意見をいただきましたので、今後の活動に活かしていきたいと思います。

懇談会の様子。
ヨシェンコ特任教授(左)と難波謙二教授。
講演を行う小沢所長。
意見交換の様子。難波教授は当日のファシリテーターを務めた。