令和2年11月14日(土)福島市で第14回研究活動懇談会を開催しました。

日時

令和2年11月14日(土)16:00~17:30

場所

下鳥渡集会所(福島市)

発表者

森高 祥太 共生システム理工学研究科環境放射能学専攻 修士2年
難波 謙二 所長 / 教授(質疑応答)

演題

福島県における水田の代かきによる河川への放射性セシウム流出の評価

代かきの様子(福島市下鳥渡)
代かき時の水田での調査

今年度初めての開催となる研究活動懇談会を福島市内の下鳥渡集会所で開催しました。懇談会には、研究に協力いただいた地元の農家の皆様11名にお集まりいただき、「福島県における水田の代かきによる河川への放射性セシウム流出の評価」と題して研究報告を行いました。

発表者の森高祥太さんは、環境放射能学専攻修士課程で阿武隈川の放射性セシウムの動態を研究しています。2017年から難波研究室にて阿武隈川河川水の観測と解析を始め、2019年からは修士課程でIER和田准教授の元研究を継続してきました。修士論文の研究課題では、阿武隈川河川水の溶存態(イオンの状態で水中に溶けている)セシウム137濃度が5月に急上昇する季節変化に着目。5月に増加する一因として、田植え前に田んぼに水を引き、土をならして柔らかくする代かき(しろかき)が関係しているのではないかと考えました。

そこで、福島市内の下鳥渡地区の稲作農家の皆様に協力をいただき、代かき前後の水田や水田に繋がる水路を流れる水のセシウム137濃度を調査し、本流である阿武隈河川水の調査結果と比較しました。 今回の懇談会では、その調査結果が報告されました。

発表では、阿武隈川流域のセシウム137の動態の概要から始まり、サンプリング地点や調査方法、調査結果について写真や図を交えて詳細な説明がありました。調査では、1000~4000リットルの河川水を採取して分析し、その結果からは、代かきの時期に河川水のセシウム137濃度が上昇しており、水田土壌のセシウム137が代かきにより一定程度河川に流出する可能性があることが考えられました。本研究では代かきによる濁水流出量の定量化などの課題がある一方、研究成果は阿武隈川流域の放射性セシウムの輸送経路や運搬メカニズムの解明につながることが期待されます。

発表後の質疑応答では難波所長も加わり、ご参加いただいた皆様からは、サンプリング方法や田んぼの放射性セシウム吸収抑制対策*についてなど、多くの質問やご意見をいただきました。今回いただいた貴重なご意見を参考に、IERでは今後も成果報告や懇談の機会を設けながら、地域の皆様のご理解ご協力のもと研究活動を継続してまいります。

(*注)福島県では田植え前にゼオライトやカリウム施肥を実施し、稲のセシウム吸収を防止する対策が実施されています。すべての県産米への全袋検査では、2015年以降、放射性セシウム基準値超の発生件数は0件。福島県産米の安全性が評価されています。

研究成果を発表する森高さん
下鳥渡集会所で行われた懇談会の様子