第10回IERセミナーを開催しました<大学院生>(2026年2月2日)

日時2026年2月2日(月)13:30~15:00
場所環境放射能研究所本棟6F大会議室 / オンライン(Zoom)
発表者カテリーナ・コレパノバ(共生システム理工学研究科 環境放射能学専攻 博士後期課程2年)
イクバル・ホッセン(共生システム理工学研究科 環境放射能学専攻 博士後期課程2年)
新井田拓也(共生システム理工学研究科 環境放射能学専攻 博士後期課程1年)
(発表順)
演題チョルノービリ立入禁止区域におけるげっ歯類の個体群特性に対する放射能汚染および生態学的要因の影響(コレパノバ)
水耕栽培したイタドリのセシウム吸収に対するカリウム、ルビジウム、アンモニアの競合効果(ホッセン)
福島第一原子力発電所事故後に、半閉鎖系河口域である松川浦の溶存態137Csを制御する要因(新井田)
参加人数22名

環境放射能研究所(IER)では、所属研究者同士の交流、研究活動の推進を目的に、研究成果報告会「IERセミナー」を定期的に行っています。

2月2日(月)に開催した令和7年度の第10回IERセミナーでは、環境放射能学専攻の博士後期課程2年生2名と博士後期課程1年生1名が発表を行いました。オンライン聴講を含め、研究者、大学院生ら22名が参加しました。

ヨシェンコ研究室のコレパノバさんは、チョルノービリ立入禁止区域(ウクライナ)で実施した野外調査について紹介しました。本研究では、小型哺乳類(げっ歯類)の群集に見られるパターンを説明するには、放射線と環境条件のどちらがより適切であるかを評価しました。携帯型機器(GPS付きガイガーカウンター、線量計・放射線測定器、NaIシンチレーションγ線スペクトロメーター)を用いて放射線パラメータを測定し、生物指標としてげっ歯類と昆虫の標準化サンプリングを実施しました。群集構造は、シンプソンの優占度指数およびシャノンの多様度指数を用いて評価し、複数の予測変数(気温、γ線線量率、捕食者、植物種の多様性、土壌水分、土壌炭素含有量など)を検証しました。暫定的な結果によると、土壌炭素含有量はげっ歯類の個体数に正の影響を与える一方、捕食者の個体数はわずかに負の影響を与えており、その他の予測因子については有意な影響は認められませんでした。

ラハマン研究室のホッセンさんは、食物連鎖の安全性に影響を及ぼす主要な汚染物質である放射性セシウムに対する植物のファイトレメディエーション(植物による環境浄化)の可能性について発表しました。本研究では、管理された条件下で水耕栽培したイタドリによる吸収を調べるために、安定同位体のCs+を類似体として使用しました。種子は対照区、K+添加区(NS1: 2 mM、NS2: 6 mM)、およびK+・Cs+添加区で発芽させた後、さまざまなK+濃度の培養液で栽培しました。発芽率はCs+を添加しない低K+条件下で最も高かった一方、K+濃度が高くなるほど生育は促進されました。Cs+の蓄積量はNS1・Cs+・NH4+添加区で最大となり、吸収されたCs+の80%以上が根に保持されていました。これは、Cs+が根に優先的に隔離(蓄積)され、地上部への移行が制限されていることを示しています。

髙田研究室の新井田さんは、福島第一原子力発電所事故後に、半閉鎖系河口域である松川浦における溶存態137Cs濃度の変動要因について発表しました。その結果、松川浦内の溶存態137Csに対する河川および堆積物からの付加の可能性を示しました。

各発表後には、参加者からさまざまな質問やコメントが挙がりました。

コレパノバさんが発表している様子
ホッセンさんが発表している様子
新井田さんがオンライン発表している様子
質疑応答の様子
質疑応答の様子
質疑応答の様子