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地域貢献

地域との懇談会

令和4年度

令和4年12月10日(土) いわき市にてシンポジウムを開催しました。New!

シンポジウムチラシPDF
日  時 :令和4年12月10日(土)13:00~17:00
場  所 :いわき産業創造館 企画展示ホールA

IERでは研究成果を地域に還元するため、2016年から研究活動懇談会を毎年数回開催しています。令和4年12月10日、第18回目となる懇談会をシンポジウム「豊かな福島の海を未来につなぐ~原発事故からの回復と漁業復興に向けた課題~」と題して開催しました。オンライン、会場合わせ約140名の方にご参加いただきました。

今回のシンポジウムは、福島県の海域環境や海産物の放射性物質濃度が顕著に低下し、漁獲量の計画的な増大を目指すなかで、福島第一原発からのALPS処理水の海洋放出の決定という新たな風評被害への懸念が高まるなか企画されました。

講演者にはIER所属研究者のほか、自然科学、社会科学それぞれの観点から事故後の海洋環境や海産物の放射性物質汚染を調査してきた研究者、また漁業協同組合や県機関の立場から福島県の漁業復興に取り組んできた研究者らが集結し、限られた時間の中でこれまで明らかになった研究結果や今後の取り組みについて紹介しました。

総合討論の最後には各発表者が漁業復興に向けた思いを語り、参加者からは「漁業、魚、海洋について科学的なデータに裏打ちされた現状が説明され理解が深まった」「福島の漁業の現状がよく分かった」という感想に加え、「漁業者の声、現状を聞きたい」「被災前の状態に戻すのではなく、福島県独自の新しい沿岸環境利用計画についても検討することが大切だと思う」「次代を担う若い世代をも交えた情報交換が望まれる」といった意見をいただきました。

IERでは今後も福島県民をはじめとした一般の方々との意見交換の場を設け、研究成果を福島の復興につなげられるよう、活動していきたいと考えています。

福島県内外から参加者が集まった 福島県内外から参加者が集まった
総合討論の様子 総合討論の様子
会場外では講演者所属機関による研究をポスターで紹介 会場外では講演者所属機関による研究をポスターで紹介

令和3年度

令和4年2月13日(日)福島市内にて第17回研究活動懇談会を開催しました。

懇談会チラシPDF
日  時 :令和4年2月13日(日)13:00~14:30
場  所 :福島市内 平石集会所
演  題 :阿武隈川における懸濁態 137Csの存在形態について
(山川喜輝:福島大学共生システム理工学類4年生)
森林と農地に由来する河川水137Csの季節変化
(木本美咲:福島大学共生システム理工学類4年生)
質疑応答(難波謙二 所長/教授)

環境放射能研究所による研究活動懇談会は、研究成果を地域に還元するために2016年より開催しております。第17回となる今回は「福島県における水田の代掻きによる河川への放射性セシウム流出の評価」と題して、福島大学共生システム理工学類難波研究室の4年生、山川喜輝さんと木本美咲さんが研究報告を行いました。山川さんは卒業研究として「阿武隈川における懸濁態 137Csの存在形態について」、また木本さんは「森林と農地に由来する河川水137Csの季節変化」というテーマで環境放射能研究所の教員(五十嵐特任助教ほか)の協力を得ながら取り組んできました。今回の懇談会では2人の卒業研究内容の一部を報告し、意見交換を行いました。なお、2人は2020年に下鳥渡地区で開催した研究活動懇談会で代掻きについて発表した森高祥太さんの後輩です。2021年に研究に協力いただいた平石地区の皆様10名と2020年にお世話になった下鳥渡地区の皆様4名にお集まりいただきました。

山川さんの発表では、2012年から福島市黒岩で定期的に実施してきた観測から、溶存態放射性セシウム濃度が長期的には減少傾向にある一方で、夏季に高く冬季に低下する季節変化を示すこと、とくに毎年5月に急激な上昇があることが説明されました。この5月の上昇が代掻きによる河川への137Csの流出である可能性があることから、2020年は下鳥渡地区での代掻きの水田内でどのような濁水が発生するのかを調査し、2021年は平石地区で水田に隣接する河川の水質が代掻き前後でどのように変わるかを調べた観測結果を報告しました。その結果から、代掻き中に発生する水田の濁り成分および137Cs濃度は、隣接する河川におよそ30倍に希釈された状態で流出していると考えられるとしました。

木本さんは代掻きの影響に加え、森林からの影響も把握するための研究を報告しました。杉田川上流にある流域が森林のみの観測点と、下流側にある流域に水田がある観測点とで、137Cs濃度や水質を比較しました。上流では河川水中の137Csの概ね80%以上が溶存態として存在している一方、下流では逆に懸濁態の割合が増えていました。ただし、同じ溶存態137Csを比べても下流の濃度は上流の濃度よりもどの季節でも高く、特に代掻きが行われていた日の下流観測点では、溶存態137Cs 濃度が上流の5-10倍の濃度となっていました。このことから、森林からの137Csの流出はあるものの下流への寄与は小さく、下流の河川水中の懸濁態・溶存態137Cs濃度に対してはともに代掻き時の水田からの寄与が大きいと考えられると報告しました。

発表後の質疑応答では難波所長も加わりました。ご参加いただいた皆様からは、「河川の放射性セシウム濃度は安全性に問題がある濃度なのか?」「放射性セシウムは土壌にしっかり吸着されるはずなのでは?」「水田に存在する放射性セシウムのどの程度の割合が流出しているのか」「上流にあるため池では放射性セシウムはどうなっているのか」など、多くの質問やご意見をいただきました。「観測された最大の溶存態137Cs 濃度でも 0.02 Bq/L であり、安全性に問題がある濃度では無い」「放射性セシウムがあることで見える、水田を中心としたカリウムなどの物質の動きがなにかヒントになるとよいと考えている」などの回答をしました。今回いただいた貴重なご質問ご意見を参考に、IERでの研究に活かしていきたいと考えております。

(注)福島県では2012年から田植え前にゼオライトやカリウム施肥を実施し、稲の放射性セシウム吸収を防止する対策が実施され、県内収穫された玄米を全て測定する全袋検査が継続されました。2015年以降は放射性セシウム基準値超が0件であり、5年間にわたって基準値超え0件が継続したことから、2020年からは収穫された玄米はサンプル検査として実施されています。

懇談会の様子 懇談会の様子
調査中の様子 調査中の様子
調査中の様子 調査中の様子

令和3年12月11日(土) 郡山市にて第16回研究活動懇談会を開催しました。

懇談会チラシPDF
日  時 :令和3年12月11日(土)13:00~16:20
場  所 :郡山駅前ビックアイ7階
市民交流プラザ 大会議室
オンライン同時配信あり
演  題 :原発事故から10年を経た内水面漁業の現状と漁業復興に向けた取組
(神山享一:福島県内水面水産試験場 調査部長)
阿武隈川の新たな脅威:外来ナマズの分布と移動生態
(和田敏裕:当研究所 准教授)
鯉に恋する郡山プロジェクトの紹介
(難波謙二:当研究所 所長)
ふくしまを川のなかから盛り上げる
(坪井潤一:国立研究開発法人水産研究・教育機構 水産技術研究所主任研究員)
大震災と放射能!川の中から見た10年
(堀江清志:阿武隈川漁業協同組合 事務局長)
※プログラム順

環境放射能研究所による研究活動懇談会は、研究成果を地域に還元するために2016年より開催しております。第16回目となる今回は「阿武隈川の10年とこれから~漁業と地域社会の活性化に向けて~」と題し、東日本大震災から10年ぶりに一部の漁業活動(アユ釣りなど)が再開された阿武隈川の現状と課題、これからの展望などについて講演を行いました。オンラインでも同時配信を行い、オンライン参加・会場参加合わせて約60人が参加しました。

 神山部長は、阿武隈川流域の淡水魚の放射性物質について、年を経るにつれて減少傾向にあるものの、減少のスピードが鈍化している状況について話しました。また、淡水魚は海の魚よりも放射性セシウムをため込みやすく、一部で比較的高い数値がでる要因などについても解説しました。また、「釣れるアユ」で福島の河川を元気にしようという、「釣れるアユ」を育てる取組について紹介しました。

 和田准教授は、放射能問題だけではない、阿武隈川の新たな脅威である外来ナマズ(チャネルキャットフィッシュ)について講演しました。チャネルキャットフィッシュは食用目的でアメリカから輸入されましたが、近年、阿武隈川中流域で急激に増加しています。本種の急増に伴う魚種組成の変化や、バイオテレメトリー調査により明らかにされた信夫ダムでの移動生態や産卵場所の特定について説明しました。また、ダム域以外の産卵場所特定の必要性など、今後の課題も示されました。

 次に郡山市のプロジェクト「鯉に恋する郡山」について、プロジェクトに合わせて郡山市のYouTubeチャンネルで公開されている「どっ鯉ソング~ソスイでSweetなこいのうた~」を難波所長が紹介しました。

 坪井主任研究員は福島県内の複数の河川で実施した、アユがどのように放射性セシウムを摂取しているかについての調査結果を発表しました。また関連して、アユが石に付着した藻類(餌)を食べることで川を綺麗にする作用があることや、アユの天敵であるカワウ対策についても解説しました。さらに本やウェブサイト、YouTubeを通して自身が行っている河川でのレジャーを盛り上げるための取組についても紹介しました。

 堀江事務局長は、原発事故の影響について、ご自身を福島県地図に見立てたスーツ(写真②参照)などを交えながら説明しました。阿武隈川漁業組合の40年前と現在の状況を比較し、特に原発事故後は組合員数が減少するなど厳しい状態であるものの、最近行ったキャンペーンの効果で組合員が増加したこと、これからの漁業組合づくりに、子どもたちや30代~40代の若者世代を巻き込み行っていきたいという考えをお話しされました。

各講演後、意見交換時には、若者の川離れを懸念し「子どもが川と触れ合う機会を作るためにはどのようにしたらよいのか」など、参加者からの様々な意見や質問が上がり、活発な議論が交わされました。

福島大学HPニューストピックへ掲載されました!

①左より、難波所長、神山部長、堀江事務局長、和田准教授(坪井研究員不在) ①左より、難波所長、神山部長
堀江事務局長、和田准教授(坪井研究員不在)
②	阿武隈川漁業協同組合 堀江事務局長の講演の様子 ② 阿武隈川漁業協同組合
堀江事務局長の講演の様子
③	全体の様子 ③ 全体の様子
④	参加者と講演者の意見交換の様子 ④ 参加者と講演者の意見交換の様子

令和2年度

令和2年11月27日(金) 楢葉中学校で第15回研究活動懇談会を開催しました。

令和2年11月14日(土) 福島市で第14回研究活動懇談会を開催しました。

令和元年度

令和2年1月31日(金) 二本松市にて第13回研究活動懇談会を行いました。

令和2年1月24日(金) 京都大学にて第12回研究活動懇談会を行いました。

令和元年7月30日(火) 浪江町にて第11回研究活動懇談会を開催しました。

平成30年度

平成31年3月2日(土) 郡山市にて第10回研究活動懇談会を行いました。

平成30年11月16日 相馬市にて第9回研究活動懇談会を開催しました。

平成30年6月29日 双葉町役場いわき事務所にて第8回研究活動懇談会を開催しました。

平成30年5月29日 阿武隈川漁業協同組合にて第7回研究活動懇談会を開催しました。

平成29年度

平成30年1月24日 浪江町で第6回研究活動懇談会を開催しました。

平成29年11月25日 日本科学未来館(東京都)にて第5回研究活動懇談会を開催しました。

平成29年7月29日 アクアマリンふくしまにて第4回研究活動懇談会を開催しました。

平成28年度

平成29年(2017年)1月27日 南相馬市にて第3回研究活動懇談会を開催しました。

平成28年(2016年)11月21日 大熊町にて第2回研究活動懇談会を開催しました。

平成28年(2016年)8月2日 浪江町にて第1回研究活動懇談会を開催しました。


開催のご相談も随時承っております。環境放射能研究所までお問い合わせください。
問合せ先 Tel 024-504-2114/Mail ier@adb.fukushima-u.ac.jp