ガンマ線の見え方を自分のプログラムでカスタマイズできる

博士前期課程2年 河原 梨花

福島大学共生システム理工学研究科環境放射能学専攻に入学した理由を教えてください。

父母がどちらとも福島県出身で、また親戚の全てが浪江町や原町などの福島第一原発事故後の避難区域に在住していたため、子供のころから放射線に興味を持ちました。山形大学工学部情報学科に在学中に、福島大学共生システム理工学類の山口克彦教授と共同研究をしていただく機会があり、そこで放射線について学びました。さらに放射線について学ぶため環境放射能学専攻への進学を決めました。

研究内容と、その研究の面白さについて教えてください。

コンプトンカメラを使用して放射線の線源を可視化する研究を行っています。ガンマ線は本来目で見ることができませんが、コンプトンカメラに入ってきたガンマ線であれば線源のエネルギーや方向を特定することができます。肉眼で見えないものを可視化できることが、この研究の面白さの一つです。ガンマ線がコンプトンカメラに入射すると、コンプトン方式という数式でガンマ線のおおまかな線源位置を工事現場にあるロードコーンのような円錐形に描くことができます。複数のガンマ線によって描かれた円錐形の底面同士の交点を求めることにより、詳細な線源位置を求めることができます。実際には、ガンマ線の線源の計算は、コンピュータープログラムが行います。このプログラムは研究者自身が作成しますので、ガンマ線の見え方を自分好みにカスタマイズできることもこの研究の面白いところです。

コンプトンカメラの撮影画像

大学院生としてどのような毎日を過ごしていますか。

普段は研究室で線源を計算するシステムを開発しています。2ケ月に一回ほど、システムの開発に必要なデータを集めるため、大熊町の帰還困難区域で放射線の測定を行っています。測定には、指導教員の鳥居先生と行きます。コンプトンカメラで放射線分布を測定するのが主な作業ですが、サーベイメータなどで空間線量率を測定してコンプトンカメラの測定結果が正しいかを確認しながら、測定を行っています。
授業のない時には、保育園などでアルバイトをしていました。また、実家の妹たちと過ごすことも楽しみにしています。

コンプトンカメラで放射線分布を測定

大学院での経験を将来どのように活かしたいと思いますか。

終了後、ソフトウェア・エンジニアとして就職することが決まりました。

最後に、受験を考えている方に、環境放射能学専攻の魅力を伝えてください。

環境放射能学専攻では学生数が多くないので、複数の先生からほぼ一対一でご指導いただけることが魅力です。分からないところがあっても、理解できるまで説明してくださいます。また、いろいろな学会に参加させていただき研究成果を発表するとともに、他大学の学生や研究機関の人との交流もできました。さらに、環境放射能研究所には、外国人の先生が複数いらっしゃるので、先生とのコミュニケーションを通じて英語力を磨くことができました。

鳥居特任教授と
日本原子力学会工学部会夏期セミナーでのポスター発表で優秀研究賞を受賞
令和4年度JAEA福島研究開発部門成果報告会ポスターセッションにて「廃炉・環境回復促進賞」を受賞

インタビュー:2023年3月