第23回研究活動懇談会を福島河川国道事務所(福島市)で開催しました(2025年12月15日)
| 日時 | 2025年12月15日(月) 13:30~15:30 |
| 場所 | 福島河川国道事務所 3階 大会議室(福島市) |
| 演題 | 樹林帯影響も含めた土砂、流木流出リスクの評価(川越清樹教授、共生システム理工学類) 137Csの流出と沿岸海域への移行(脇山義史准教授、環境放射能研究所) 阿武隈川を流れる懸濁物質の特徴―多項目分析の結果から―(鈴木信弘、共生システム理工学研究科 環境放射能学専攻 博士後期課程3年) |
環境放射能研究所(IER)では研究成果を地域に還元するために、2016年から研究活動懇談会を毎年数回開催しています。第23回目となる今回は「阿武隈川における増水時の物質動態」をテーマとして福島河川国道事務所(福島市)で開催し、オンライン参加を含めて29名の方にご参加いただきました。
難波所長の開会挨拶の後、脇山准教授から研究活動懇談会の趣旨説明があり、今回はサイエンスコミュニケーションの授業の一環として大学院生が研究発表を行うことが紹介されました。また、それに併せて関連する調査研究について教員が報告を行いました。
川越教授は、気候変動に伴う土砂災害の激甚化に対し、生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)に注目した研究について発表しました。適応策と緩和策の両立が重要であると話し、三島町での桐の適地評価や、UAVを用いた樹林の土砂緩衝効果の検証といった実践事例を紹介しました。現在は荒川や松川などで広域的な研究を進めています。
脇山准教授は、福島第一原発事故により陸域に沈着したセシウム137の河川での動きと沿岸海域への移行について説明しました。増水時にセシウム137は主に懸濁態として流出し、平水時と増水時では挙動が異なります。長期的にはセシウム137濃度の低下により河川を通じたセシウム137の流出量が減少していますが、大規模出水後に沿岸海域で海水のセシウム137濃度が一時的に上昇する事例が観測されており、その発生条件の解明を今後の課題としています。
大学院生の鈴木さんは、阿武隈川の増水時における懸濁物質の動態を、炭素・窒素安定同位体比と重金属を用いて調査しました。その結果、増水時には森林からの土砂供給が増加する一方で、セシウム137濃度は低下することが明らかになりました。この傾向は、森林からの流入でセシウム137濃度が上がる浜通りの河川とは対照的な阿武隈川の特徴であり、セシウム137動態の差異が示唆されると報告しました。
発表後の意見交換では、ご参加いただいた皆様から多くのご質問やご意見をいただきました。また、終了後のアンケートでもさまざまな感想が寄せられました。今回いただいた貴重なご意見を参考に、IERでの研究に活かしていきたいと考えております。





