第12回IERセミナーを開催しました<ジンナット客員研究員、オロスン研究員、鳥居特任教授>(2026年2月16日)
| 日時 | 2026年2月16日(月)13:30~15:00 |
| 場所 | 環境放射能研究所本棟6F大会議室 / オンライン(Zoom) |
| 発表者 | ラハマン ジンナット客員研究員 ムヨワ・マイケル・オロスン研究員(プロジェクト) 鳥居建男 特任教授 (発表順) |
| 演題 | 放射性核種汚染土壌の修復に向けたアプローチ(ジンナット) 福島県内のスギにおける137Cs分布と持続可能な森林管理への示唆(オロスン) フラクタル幾何学を用いた中性子イメージング用の全方位型検出器の開発(鳥居) |
| 参加人数 | 24名 |
環境放射能研究所(IER)では、所属研究者同士の交流、研究活動の推進を目的に、研究成果報告会「IERセミナー」を定期的に行っています。
2月16日(月)に開催した令和7年度の第12回IERセミナーでは、ラハマン ジンナット客員研究員、ムヨワ・マイケル・オロスン研究員(プロジェクト)、鳥居建男特任教授が発表を行いました。オンライン聴講を含め研究者、大学院生ら24名が参加しました。
ジンナット客員研究員は、福島第一原子力発電所事故後の放射性セシウム(137Cs)汚染土壌の修復方法について発表し、化学的抽出法と新しい減容化手法の比較を行いました。その結果として、難分解性および生分解性キレート剤による抽出はアンモニウム塩より効率が低い一方で、ヘキサメタリン酸ナトリウム(SHMP)を用いた分散剤増強湿式ふるい分けは極めて効率的であることが示されました。SHMPは、多価陽イオン結合を切断することによって土壌微小凝集体の分散を促進し、その結果、137Csが微細な粘土およびシルト画分(125 µm未満)に効果的に濃縮されます。これにより、粒径の大きい除染済みの土壌画分を分離して再利用できる可能性があり、放射性固体廃棄物の減容化に向けた持続可能な戦略として有効です。
オロスン研究員(プロジェクト)は、「福島県内のスギにおける137Cs分布と持続可能な森林管理への示唆」と題して発表を行いました。本研究は、福島第一原子力発電所事故後のスギ(Cryptomeria japonica)における放射性セシウム(137Cs)の吸収、放射方向への移行、経時的な再分布に関する現在の知見を総合的にまとめたものです。初期段階の葉への沈着と、長期的な根からの吸収という2つの汚染経路に重点を置いています。野外調査およびトレーサー研究の結果から、137Csは放射柔細胞を介して辺材から心材へと放射方向に能動的に移行した後、心材内部で拡散することが示されています。また、心材と辺材の濃度比には樹種による違いがあることも強調されています。本研究は、垂直方向および放射方向の分布動態を包括的に捉え、木材の長期的な汚染メカニズムに関する知見を提供するとともに、森林管理および木材利用に対する示唆を提示するものです。
鳥居特任教授は、放射線源の位置を特定するために、3次元全方位の放射線分布を検出できるコンパクトなイメージングセンサーの開発が不可欠であると述べました。これまでは、ベータ線およびガンマ線のフラクタル形状の分布をマッピングする放射線イメージャを開発してきました。福島第一原発では、核燃料やデブリの撤去が予定されており、核燃料に由来する中性子源を特定することは極めて重要です。鳥居特任教授と共同研究者は、原子炉建屋内の中性子源の特定を目的として、コンパクトで軽量な全方位型中性子イメージャの開発に取り組んでいます。そのために、中性子検出用の薄型シンチレータを取り付けた全方位型中性子イメージャを開発しており、その設計および検出器性能試験の結果について発表しました。
各発表後には、参加者からさまざまな質問やコメントが挙がりました。



