- 所属
- 環境放射能研究所
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プロフィール
1995年、ウクライナ国立科学アカデミー実験病理学、腫瘍学、放射線生物学研究所において、チョルノービリ燃料粒子に関連する放射線生物学的側面の研究により、生物学(放射線生物学)博士号を取得。現在は、福島県の森林における放射性セシウム汚染と森林生物種への放射線影響に関する研究を行っている。
研究テーマ
- 福島県の典型的な森林生態系における放射性セシウムの主要フラックス(移行経路と量)の特定と定量化
- 福島県の森林における放射性セシウムの長期的再分布のモデル化
- 植物種への放射線影響の特定、線量率効果の定式化、放射線影響のメカニズムの解明
分野
森林放射生態学、放射線影響、線量測定
キーワード
福島の原発事故、森林放射生態学、放射性核種、放射性セシウム、放射線影響、線量測定
研究概要
2014年2月にIERに着任する前は、約25年間にわたり、ウクライナ国立生命環境科学大学付属ウクライナ農業放射線研究所に勤務しており、最終的には、放射生態学モニタリング・数理モデル・線量測定研究所の所長を務めました。研究内容は、チョルノービリ事故の影響に関連する幅広い課題を対象としており、チョルノービリ由来放射性核種の物理化学的形態の特性評価、ホットパーティクル調査、森林生態系における放射性核種の挙動調査、人間および生物相の被ばく線量のモデル化、森林火災中の放射性核種の拡散調査、放射線による植物種への形態学的影響および細胞遺伝学的影響の研究、土壌中の放射性核種の移行調査などを行ってまいりました。
2014年2月、福島県の典型的な森林生態系における放射性セシウムのフラックスに関する研究をIERの他の研究者との緊密な共同研究のもとで開始しました。この目的のため、山木屋近くのスギ林に観測サイトを設置し、2014年5月以降、包括的なモニタリングプログラムを実施しています。その後、福島県の放射能汚染された森林に新たな観測サイトを設けることで、モニタリングプログラムを他の樹種にも拡大しており、現時点では福島第一原子力発電所の近くに5つの実験サイトと観測エリアがあります。
私は事故後の初期段階の終わり頃までに、森林生物種における放射性セシウム分布の特徴を明らかにし、森林生態系における放射性セシウムの今後の長期的な再分布を支配する主要なフラックスの初期推定値を提示しました。(Yoschenko et al., 2016a)
また、福島県内の植物種に対する放射線影響についても明らかにしました。調査の結果、アカマツの若齢個体群は放射線感受性が非常に高く、慢性的な被ばくに対する反応として、深刻な形態異常(頂芽優勢の喪失)が生じることがわかりました。福島地域で実施した大規模な観測結果に基づき、異常形成の発生確率と樹木への線量率を信頼性を持って関連付け、線量率効果を定式化しました。(Yoschenko et al., 2016b)
現在も、上記の研究を継続しています。新たなモニタリング結果に基づいて、森林生態系における放射性セシウム分布の動態を明らかにし、放射性セシウムのフラックス、特に根からの吸収速度をより正確に推定しています。また、研究対象の生態系における安定セシウムの分布およびフラックスの分析も実施しており、これにより、森林における放射性セシウムの長期的な動態予測に不可欠な情報が得られます。さらに、福島県の森林における放射性セシウム汚染レベルを評価するためのフィールドでの放射線測定法の開発にも取り組んでいます。
放射線影響の研究の継続として、アカマツにおける形態異常の形成メカニズムを解明することを目的に、詳細な細胞遺伝学的およびエピジェネティック研究の計画を策定しています。
ひとこと
福島県では、避難指示が出されていた地域への住民の帰還に備えて、住宅地や農地で大規模な除染が実施されてきましたが、森林の除染はごく限られた区域のみで実施され、大規模な森林除染は今後も計画されていません。したがって、放射能汚染地域における林業の戦略を策定する必要があります。この文脈において、私たちの研究成果は、福島県の森林における放射性セシウムの長期動態の理解に資するものと考えます。この研究成果が、放射生態学全般、特に現在発展中の非人間生物相の放射線防護分野に貢献できることを期待しています。
好きなもの・趣味
旅行、観光、文化、釣り
経歴
- 1989
タラス・シェフチェンコ記念キーウ国立大学、物理学修士
- 1989-2014
ウクライナ国立生命環境科学大学、農業放射線学研究所勤務(エンジニア、特任研究員、研究員、主任研究員、先導研究員、研究所所長)
- 1995
ウクライナ国立科学アカデミー、生物学博士(専攻:放射線生物学)
- 2014-2020
福島大学環境放射能研究所特任教授
- 2025
福島大学環境放射能研究所副所長
- 2020-現在
福島大学環境放射能研究所教授
受賞歴
- 2011
放射能汚染地域での農業支援の業績に対してウクライナ農業政策・食料省より「農業教育および科学の成績優秀者」