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訃報

青山道夫先生がご逝去されました。

青山道夫先生が筑波大学附属病院にて多臓器不全のため2022年9月5日午前10時52分逝去されました。

青山先生の突然の訃報に接し、奥様をはじめとするご遺族の方々の悲しみを拝察致し、心より哀悼の意を捧げます。

青山先生は、2014年2月に特任教授として福島大学環境放射能研究所に着任されました。 青山先生は、海水中の物質循環上重要な物質、特に放射性物質の分析と環境動態の研究に取り組まれ、2014年には「セシウム137の高精度分析とデータベース化に基づいた海洋循環の研究」で公益社団法人日本地球惑星科学連合学術賞(三宅賞)、翌年には福島大学学長学術研究表彰を受賞されました。 その後も2018年に「栄養塩標準試料の開発および人工放射性核種の長期広域観測に関する国際共同研究」で日本海洋学会宇田賞を、また福島原発事故で放出された放射性セシウムの北太平洋での移動および存在量についての研究により同学会日高論文賞を受賞されるなど、海洋の物質動態研究で大きな足跡を残しておられます。 福島大学に在籍された2019年3月までに原発事故後の福島の海洋放射能研究を主導され、研究テーマや化学分析手法において後進育成の観点で今後に繋がる道筋をつけて来られました。さらに青山先生の「諦めない、無い物は作る、書いて残す」という信念に基づいた研究および発信活動およびご経験に基づいた数々のお言葉、「常識を疑え」、「測ってみなければ判らない」、「科学者である前に社会の一員であることを考えよ」等々は、他分野の中堅・若手研究者にも多大な刺激であり続けるでしょう。

いま海洋の放射能についての課題が関心を集め、海洋学的研究と発信が一層重要性を増している福島で、大切な拠り所を失った感があります。青山先生が蒔かれた種を我々が育てていくことができるのか不安はありますが、先生の励ましを胸に地道に取り組んでいきたいと思います。