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IER活動記

令和3年度

7月5日 IER特別セミナー (オンライン)を開催しました。

日 時 :2021年7月5日 (月)14:40 - 15:10
場 所 :オンライン(Zoom)
外部講師 : 橋本 昌司
国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 主任研究員
東京大学大学院農学生命科学研究科 准教授

7月5日のIER特別セミナーでは、森林総合研究所(以下、森林総研)から、橋本昌司主任研究員を招いて、オンラインセミナーを実施し、学内外の研究者や学生ら15名が参加しました。

日本の国土の約70%が山地の森林です。このため、2011年の福島原発事故で放出された放射性物質の多くが山地の森林に沈着しました。事故直後、放射性物質は樹木の葉や枝の表面に沈着しましたが、10年という時間をかけて、地面の落葉層、そしてその下の鉱物層に徐々に移行していることがわかってきました。セミナーでは、森林総研がこれまで実施してきた研究から、森林環境中での放射性物質の移行に関する研究成果が紹介され、質疑応答では講師と参加者との間で議論が交わされました。

6月25日 大学院生が福島第一原子力発電所を視察しました。

概要説明を受ける大学院生 概要説明を受ける大学院生

6月25日、大学院生6名(環境放射能学専攻博士前期課程5名、共生システム理工学専攻博士後期課程1名)と指導教員の塚田教授、脇山准教授が大学院講義の一環で福島第一原子力発電所を視察しました。

大学院生らは、事故とその後の対処についての概要説明を受けたのち、廃炉資料館と福島第一原発を視察しました。原発視察では、車内からALPS処理水タンク、免震重要棟などを視察した後、短時間降車し高台から1-4号機原子炉建屋を眺めました。最後に行われた除染推進室との意見交換では、学生たちの興味が高く、約2時間にわたる活発な質疑応答が交わされました。

参加した大学院生からは「実際に原子炉建屋を目の前にすると、想像よりも建屋周辺が整備されており、廃炉作業が進んでいることを実感した。」「施設を間近で直接目の当たりにし、技術進歩を求めて自然を搾取することの代償に気づかされた。」といった声が聞かれました。

原子炉建屋を眺める 原子炉建屋を眺める

6月22日、6月29日 IER特別セミナー (オンライン)を開催しました。

場  所:オンライン(Zoom)
外部講師: 渡辺 嘉人 博士、量子科学技術研究開発機構 放射線医学研究所
◆講義1◆
日  時:2021年6月22日(火)午前10:20 - 11:50
タイトル:Biological effects of radiation in Fukushima

環境放射能学専攻博士前期課程の一部講義では、著名な研究者を講師として招き、その講義を「特別セミナー」として学内の教員等にも公開しています。

6月22日に開催された渡辺嘉人博士による「放射線影響学」のオンライン講義には、環境放射能学専攻の修士学生3名と、IERのメンバー数名が参加しました。講義では、放射線影響の基本的なメカニズムやヒトの放射線影響の種類、異なる生物種の放射線感受性について説明があり、特に、放射線感受性が染色体体積に依存することやガンマ線連続照射による傷害について詳しい説明がなされました。また、チェルノブイリや福島の動植物に観測された放射線影響の事例(ヨーロッパアカマツ、ニホンアカマツ、モミ、メダカなど)を挙げ、その染色体異常頻度の線量依存性を分析しました。講義の参加者は、放射線の確定的または確率的影響、また、チェルノブイリ原発周辺の森林の急性の被ばく影響について議論を交わしました。

◆講義2◆
日  時:2021年5月25日(火)午前10:20 - 11:50
タイトル:Biological Effects of Radiation on Animals

6月29日に開催された「放射線影響学」のオンライン講義には、環境放射能学専攻の修士学生4名と、IERのメンバー数名が参加しました。冒頭、渡辺博士は、標準動植物(RAP: reference animal and plants)や誘導考慮参考レベル(DCRL: Derived Consideration Reference Levels)といった環境放射線防護のための基本的な概念を紹介し、それを踏まえて、福島原発事故後の大熊町の陸上と海洋の標準動植物への推定線量率と誘導考慮参考レベルを比較し放射線のリスク評価を行いました。さらに話題は、福島原発事故によって野生動植物に放射線影響が生じたことを示唆する研究例の包括的なレビューから、チェルノブイリ原発事故による野生生物への影響、野外と実験室での放射線影響の違いを解釈する際の問題点、日本のモミの形態異常形成に関する研究の進展、線量評価や放射線被ばく影響の検証実験の重要性等、多岐にわたりました。参加者は、動物種の放射線感受性について、加齢や他の要因による影響も含め議論しました。

和田准教授・高田特任准教授による研究プロジェクトがfoRプロジェクトに指定されました。

福島大学では平成27年度から、「福島での課題解決」に結びつく重点研究分野を「foRプロジェクト」として指定し、研究費の重点配分を行っています。今年度は、審査会を経て4件の研究プロジェクトが指定され、そのうち1件は当研究所の和田敏裕准教授を研究代表者、高田特任准教授を共同研究者とする研究課題「原発周辺の沿岸生態系におけるトリチウムモニタリング基盤の構築と動態解明」となりました。

本プロジェクトでは、トリチウムを含む処理水の放出が決定された福島第一原発周辺海域でトリチウムのモニタリング基盤を構築し、トリチウムや放射性セシウムの生態系への影響を推定評価することを目的としています。科学的なデータを示すことで社会不安を軽減し、福島県の漁業や地域復興に貢献することを目指します。
(参考:福島大学プレスリリース資料 )

6月18日に行われた交付式では、foRプロジェクト指定証が交付された後、三浦学長と採択者との懇談会が行われ、今後の研究推進に向けた課題などについて意見が交わされました。最後に、三浦学長、二見副学長とともに写真撮影を行いました。

交付式での記念撮影。
交付式での記念撮影

foRプロジェクトに採択された和田准教授と高田特任准教授
foRプロジェクトに採択された和田准教授と高田特任准教授

令和3年6月22日 ヴァシル・ヨシェンコ教授が福島県立福島高等学校で講義を行いました。

講義の様子
日 時 :2021年6月22日(火) 午後13:00 - 16:00
場 所 :福島県立福島高等学校
発表者 :ヴァシル・ ヨシェンコ 教授
テーマ :放射能と森

6月22日、ヴァシル・ヨシェンコ教授が福島県立福島高等学校で開催されたグローバルサイエンスにおいて3年生約40名に講義を行いました。

質問に答えるヨシェンコ教授と五十嵐特任助教

これは文部科学省よりSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定されている同校が実施するプログラムの一環で、海外出身の研究者を講師として招いて行われるものです。

ヨシェンコ教授は、母国ウクライナや放射生態学の研究者としての自己紹介を交えながら、「放射能と森」をテーマに自身の研究を紹介しました。講義はすべて英語で行われましたが、生徒の皆さんは真剣に聞き入ってしました。

生徒による発表

質疑応答では、ヨシェンコ教授が携わったチェルノブイリ原発事故後の調査に関する質問のほか、「最も大切な教科を一つ挙げるとしたら何ですか?」という究極の質問も挙げられました。この質問に対しヨシェンコ教授は、理数科目はすべて、将来研究に役立つはずとアドバイス。同行した五十嵐特任助教からは研究、とりわけ思考力と論文執筆の基礎となる日本語を正しく学ぶことが日本人研究者として必要不可欠と思うというメッセージが送られました。最後に、参加した生徒一人一人から講義を通して学んだことについて発表がありました。

令和3年6月21日 第1回IERセミナーを開催しました。

日 時 :2021年6月21日(月) 午後14:00 - 15:00
発表者 :五十嵐 康記 特任助教
脇山 義史 准教授
タイトル:Dose rCs have a temperature dependency? – Theory and field observation- (五十嵐)
Riverine 137Cs dynamics under high-flow conditions: progress and future direction(脇山)
五十嵐特任助教

環境放射能研究所(IER)では、所属教員同士の交流、研究内容の研鑽を目的に、所属教員による研究成果報告会「IERセミナー」を定期的に行っています。

6月21日に開催した令和3年度の第1回IERセミナーでは、水文学分野が専門の2名の研究者による発表が行われました。オンライン聴講を含め研究者、大学院生ら21名が参加しました。 五十嵐特任助教は、河川中の放射性セシウム動態の温度依存性について、理論と阿武隈川の長期観測データに基づく観点から発表しました。

脇山准教授

続けて、脇山准教授からは、出水時の福島県内の河川における放射性セシウム動態について発表があり、それぞれの研究進捗と今後の課題などが報告されました。
発表後には研究者による意見交換が行われ、今後の進展を期待するコメントが聞かれました。

質疑応答での意見交換

令和3年6月7日 IER特別セミナー (オンライン)を開催しました。

日  時:2021年6月7日(月)午後16:20 - 17:50
場  所:オンライン(Zoom)
外部講師:スタニスラフ・ゲラスキン 博士、ロシア農業放射線生態学研究所
タイトル:Effects of long-term chronic exposure to radionuclides in plant populations

6月7日に開催されたスタニスラフ・ゲラスキン教授による「放射線影響学」のオンライン講義には、環境放射能学専攻博士前期課程の学生3名のほか、IERや学内のメンバー数名が参加しました。ゲラスキン教授は、チェルノブイリの立入禁止区域やセミパラチンスク核実験場、福島の避難指示区域などの、重度な放射能汚染が認められた 地域で観測された植物への慢性的放射線被ばくの影響に関する内容で、分子レベルから生態系まで、生物学的に様々な階層で見られる放射線影響の解明に向けた取り組みについて話をされました。また、放射線被ばくに対する植物の反応を示す包括的なデータを示しましたが、これには、細胞遺伝学的変化、突然変異、被ばくした植物個体群の遺伝的多様性、エピジェネティックな変化、遺伝子発現の違い、ホルモンバランスや酵素活性・形態学的指標の変化などのデータが含まれていました。質疑応答では、放射線に反応する際に転位因子(トランスポゾン)が寄与している可能性や、植物の個体や個体群における染色体異常の経時的な出現パターンのメカニズムについて、議論が交わされました。

令和3年6月1日 IER特別セミナー (オンライン)を開催しました。

日  時:2021年6月1日 (火)午後16:15 - 17:00
場  所:オンライン(Zoom)
外部講師: グシエフ・マキシム 専門研究員 (Dr. Maksym A. Gusyev)
国立研究開発法人 土木研究所ユネスコ後援機関 水災害・リスクマネジメント国際センター
タイトル:Past and future research for the improved decision- support model predictions with environmental tritium radioisotope

6月1日のIER特別セミナーでは、土木研究所ユネスコ後援機関 水災害・リスクマネジメント国際センターから、グシエフ・マキシム研究員を招いて、オンラインセミナーを実施し、学内外の研究者や学生ら15名が参加しました。

地下水は、地下を非常にゆっくりとしたスピードで流れる水です。人間活動での水資源として非常に重要ですが、地下水を直接観察する事はできません。そこで、グシエフ・マキシム研究員らは、トリチウムをトレーサーとして地下水の流動を把握し、モデルを使った可視化を試みました。セミナーでは、ニュージーランド北島を対象に、地下水の滞留時間などを可視化することで、地下水を定量的に把握し、その管理に役立てるための研究等が紹介されました。同様の手法は、日本の北海道でも検証され、地下水の把握にトリチウムのトレーサー利用が重要であることがわかりました。質疑応答では講師と参加者との間で議論が交わされました。

令和3年5月18日、5月25日 IER特別セミナー (オンライン)を開催しました。

場  所:オンライン(Zoom)
外部講師: トーマス・ジョンソン 博士、コロラド州立大学教授
◆講義1◆
日  時:2021年5月18日(火)午前10:20 - 11:50
タイトル:Overview of external radiation dose measurement
◆講義2◆
日  時:2021年5月25日(火)午前10:20 - 11:50
タイトル:Biological Effects of Radiation on Animals

環境放射能学専攻博士前期課程の一部講義では、著名な研究者を講師として招き、その講義を「特別セミナー」として学内の教員等にも公開しています。

5月18日に開催されたトーマス・ジョンソン教授による「放射生態学」のオンライン講義には、環境放射能学専攻博士前期課程の学生3名とIERのメンバー数名が参加しました。
この講義でジョンソン教授は、ガンマ線やベータ線による外部被ばく線量の基礎的な計算方法を紹介しました。さらに、話題は点・線・面といった形状のガンマ線源からの線量を比ガンマ線放射定数に基づいて計算する方法から、線量計算ツールBiotaDC、VARSKINやJAEAの核データベース等のウェブサイトの紹介まで及び、大変貴重で有意義な話を聞くことができました。質疑応答では、土壌水分量の違い等、空間線量率に影響を与える環境要因について参加者と議論が交わされ、日本と米国コロラド州の空間線量率や線源の比較についても言及されました。

続く5月25日のオンライン講義には、環境放射能学専攻の修士学生3名とIERのメンバー数名のほか、CSUからも2名が参加しました。
ジョンソン教授はまず、チェルノブイリで得られたものなど放射線の動物への影響に関するデータについて解説しました。そして、国際放射線防護委員会(ICRP)が公表している基準動植物(RAP)や誘導考慮参考レベル(DCRL)など、環境の放射線防護に適用される基本的な概念について議論しました。最後に、生物相の線量測定法のさらなる改善と生態学的エンドポイント特定の必要性を強調して講義は締めくくられました。質疑応答では、自然淘汰の要因としての放射線、チェルノブイリの一部の動物種における個体数の減少と回復、各臓器の組織加重係数を加味した生物種への線量評価の改善などについて、参加者との間で議論が交わされました。

令和3年5月17日 IER特別セミナー (オンライン)を開催しました。

日  時:2021年5月17日(月)午後16:20 - 17:50
場  所:オンライン(Zoom)
外部講師: ネロ・ホーレマンス博士、ベルギー原子力研究センター
タイトル:Do epigenetic changes regulate the response of plants chronically exposed to ionizing radiation? Evidence from field and lab experiments

環境放射能学専攻博士前期課程の一部講義では、著名な研究者を講師として招き、その講義を「特別セミナー」として学内の教員等にも公開しています。

5月17日に開催されたネロ・ホーレマンス教授による「放射線影響学」のオンライン講義には、環境放射能学専攻博士前期課程の学生3名とIERのメンバー数名が参加しました。
講義の中でホレマンス教授は、生物が遺伝子の転写を制御し、発生段階によって異なる特徴を形成する際に、エピジェネティック*なメカニズムがどのような役割を果たすのかについて、最新の見解を説明しました。特に、慢性的な放射線にさらされた植物のDNAメチル化とマイクロRNAの発現レベルの変化を明らかにすることを目的とした野外・室内実験の結果に焦点を当て、講義は進行しました。
質疑応答では、エピジェネティックな変化は放射線への適応と解釈できるのか、その物理的なメカニズムは何なのかなど、講師と参加者との間で議論が交わされました。

*エピジェネティクス
エピジェネティクスとは、DNA塩基配列の変化を伴わない遺伝子機能の遺伝的変化を研究する学問領域です。このような変化は、生物のさまざまな発生段階や、環境やストレスなどの外的要因に適応する際に生じるものです。


令和3年4月5日 環境放射能学専攻博士前期課程・後期課程 令和3年度新入生の顔合わせを行いました。

4月5日、福島大学で令和3年度入学式が行われました。今年度、IERでは、共生システム理工学研究科環境放射能学専攻の博士前期課程3名、博士後期課程1名の合計4名の新入生を迎えました。
この日、入学式後に新入生の顔合わせがIERで行われ、難波所長による歓迎の言葉のあと、新入生と教授陣のそれぞれによる自己紹介がありました。

環境放射能学専攻は、平成31年4月に修士課程が開設されました。3期目を迎える今年度からは、博士後期課程が新たに開設。博士前期課程・後期課程として再編され、4名の新入生および在学生の皆さんと新たなスタートを切ります。IERで学ぶ大学院生のこれからの活躍に一同期待しています。

顔合わせの様子。
顔合わせの様子。新型コロナウイルスの影響により入国できなかったアフリカ
からの留学生は、オンラインでの参加となりました。

祝ご入学
新入生の皆さんとIER教授陣。ご入学おめでとうございます!